京都を代表する八つ橋発祥の地である聖護院地区についてご紹介したいと思います。
今回はこの地域と京都の伝統工芸の体験講習ができる施設についてお話しします。修学旅行生の受け入れもしている施設ですので、スタッフの方は大変丁寧に指導してくださいます。
世界に一つだけの自分の作品を旅の思い出にしてみましょう。
聖護院地区とは
その昔、平安時代には院政の中心地として繁栄した土地です。現在では八つ橋発祥の地として有名です。
聖護院八ツ橋総本家、熊野神社、京大病院が道を挟んであり、少し北に行けば京都大学が広がっています。
南には平安神宮が代表的な岡崎地区が広がっています。毎年4月上旬には平安神宮にて紅しだれ桜コンサートが4日間ほどあります。
いずれも夕暮れ時から始まり、幻想的なライトアップの中著名な演奏者たちのコンサートと桜のコラボレーションを体感できます。
このイベントだけを目指して岡崎地区に夕方から向かうのはもったいない。是非時間があれば先に聖護院地区を巡ってみはどうでしょうか。
京都の伝統工芸を見たい、学びたい、体験したい!
日本全国津々浦々にそれぞれの伝統があります。京都と言えば、華道茶道や着物が注目されるかと思いますが、もっと匠の技を目の前で見て感動して、自分でも体験してみる旅も思い出になります。
子供の頃の修学旅行気分を思い出す方もいるかもしれません。大人になって改めて体験をすると、その奥深さや匠の技の精密さなど感嘆する場面も多くあります。
京都ハンディークラフトセンターでは、外国の方も日本の方も受け入れOKです。大型バスの乗り入れも可能なため、修学旅行生の利用も多いそうです。
館内は広く、食事、喫茶、日本伝統工芸品のお買い物など体も目も休ませることができる所が用意されています。一般的なお土産屋さんと違って、ゴリ押しや必要以上な声かけは一切ありませんでした。
「見たいだけ見ていってね」という雰囲気です。作品を自分で作らなかったとしても、お土産として購入するのも、ほとんど混雑なく好きなだけじっくり選ぶことができます。
1階の買い物エリアでは真珠の取り揃えがかなりありました。また、螺鈿細工、金細工、漆、これからご紹介する京象嵌の作品が意外と手に入れやすい値段で売られていました。
朝一番だったので私が行った時は館内のお客さんは5名くらいでした。このあとご紹介する体験コースは1人だったのでマンツーマンでの指導をしてもらえて大満足の時間を過ごせました。
京象嵌は全国の百貨店での催事で取り扱っていて、その際に職人の実演をしていることもあるのですが、なかなかじっくりと見ていると買わないといけない雰囲気になってしまいがちです。
体験教室や、こちらの施設の見学をするときは、販売目的ではないので落ち着いて見ることができておすすめです。体験教室は平日の午前中は空いていることが多いとのこと。
修学旅行生が来る時期は大賑わいの日が多いようですので、じっくり落ち着いて作業したい方は電話確認した方がいいでしょう。京都ハンディークラフトセンターでは9種類の体験教室が開催されています。
最大席数は250席、100名以上での同時受講も可能です。どの教室も1日3クール時間帯があります。10時半、14時半、16時です。
電話にて時間については相談も可能です。京象嵌、木版画、銀七宝、土鈴人形の絵付け、京扇子の絵付け、七味の調合、匂い袋作り、京こま作り、無線七宝から好きな教室を選んで予約します。
インターネットや電話で予約可能です。今回は私は京象嵌の体験をしました。外国の方に人気なのは木版画だそうです。小学校のときの図工でよく作った版画とは違って、雰囲気は浮世という感じです。
版画はすでに掘られたものが用意されていて、6種類の版画を重ねて順々に押していくと出来上がります。テーブルの上に版画版がずらりと並んでいて、流れ作業で押していくと出来上がるという感じです。
小さなお子様には台が高いかもしれません。出来上がり品を入れる袋を持って行った方がよいでしょう。
どの体験教室も40分から60分で完了するとのことです京こまは、紙テープ状のものを巻いていくと出来上がります。
七味は自分の好きな配合で調整できるので、世界にひとつだけの自分好み調味料を作ることができます。
でも、比較的あちこちで七味調合の教室はやっている。。。気もしますので、せっかくここに来るのなら、なかなか体験できないものを作ってみたいですね。
京象嵌以外のコースの利点は比較的費用が安いこと、作った当日に持ち帰りができることです。京象嵌は、体験後、職人が金銀を立体的に見えるよう装飾するなど専門的な仕上げ作業をします。
この最後の加工のおかげで、自分の作品は見違えるほどの出来栄えになりました。2-3週間後にきれいに梱包されて郵便受けに届きます。当日持ち帰りできないので時期に注意しましょう。
京象嵌とは
象嵌は大変古い歴史を持つ工芸品で、世界各国で用いられてきました。現在日本に存在するものは奈良時代にシルクロードを経由して伝来したと言われています。
武器の装飾部分や鏡などに用いられるなどされていました。京都の象嵌は江戸時代にさらに栄え、西陣の職人が各地の大名に仕えるなどしたことによって全国に技法が広まりました。
金属の上に、金属を重ねて火を使うことなく装飾をしていく技法は大変細かい作業を要します。鉄の板にまるで布の目のごとく細かな溝を掘っていくことから始まります。
この溝は縦横に掘られていて、目の大きさは肉眼では確認できないほどです。ルーペでよく見てみると、純金を打ち付けたところがまるで布のように均等な細かな目が浮き出ているのがわかります。
これは機械打ちではありません。鉄が元々こうした表面なわけでもありません。職人の手仕事のなせる技なのです。まずはそのことに驚愕しました。
体験教室では、この溝を構築する部分はあらかじめ職人方が済ませてくれています。館内のエレベーターを会場階で降りると、向かって右側が職人が実演するスペースになっていました。
黙々と作業している職人さんたちに一言ご挨拶し、是非見学させてもらいましょう。これから自分が体験するものが、いかに部分的なのか、職人技とはこんなにも美そのものなのかと感激することと思います。
京都の象嵌は金のみならず、銀も使うところが特徴です。黒い背景に金色はとても派手で存在感があります。しかし、味方によると奥行きなど立体感、自然の風や光といった情景を表現するには二次元を超えません。
銀を使用することで、光の部分、凹凸が表現され、物の表と裏を金表現することができるのではないかと思いました。
いざ京象嵌体験!
体験教室にいくまでに、どんなデザインにするか考えていくとスムーズです。
また、想像できない場合はインターネットで写真を検索してイメージを膨らませるのもいいですし、京都ハンディークラフトセンター1階の販売エリアであらかじめ、どんな絵柄のものがより美しいと感じるか、目を肥やしてからいくのもおすすめです。
作業し始めたら、自分の思うようにできますが、決まってないと手が止まって非常に困ります。私は見本があるからいいかと思い、その場まであまり考えていませんでした。
しかし、会場の見本絵柄が幼稚に感じ、ガチで自分のアクセサリーとして使おうとしていたのでとても焦りました。4000円するし、プロの職人さんとのコラボなんですから渾身の力作にしたいものです。
黒い鉄板は光沢はなく金銀を引き立てます。今回は夜桜の枝先を、下から見上げて夜空に抜ける感じをイメージして作りました。
デザインの意図を職人さんへのメッセージとして書いて渡せるので、できるだけ詳細に書きましょう。作業工程はタブレットで説明動画を見て、担当の方の説明を受けたら出来上がり品を組紐ストラップかペンダントにするかを決めます。
見本は席に置いてあります。残念ながらこの席に置いてある見本以外に作品の展示は作業場にはありません。小さな板で練習したら、仮止めで金銀を打ち付けていきます。
とはいえ、仮止めから引き剥がすのも細かい作業なので、「この一回で勝負」と思った方がよかったです。緊張感があって楽しく没頭できました。
京都ハンディークラフトセンターについての詳細情報
●開催日時
通年。開催時間は3パターン。10時半、14時半、16時
●予約
予約優先。予約していく方が確実
●ホームページ
https://www.kyotohandicraftcenter.com
●予約方法
ホームページ、電話
●住所
〒606-8323 京都府京都市左京区聖護院円頓美町17
●体験教室電話番号
075-761-0142
●アクセス方法
・電車
京阪本線 神宮丸太町駅 徒歩10分
地下鉄東西線 東山駅 徒歩15分
・バス
京都駅から
206系統「東山通 北大路バスターミナル」ゆきにて約30分、「熊野神社前」下車 徒歩3分
四条河原町から
31系統 東山通 高野・岩倉ゆきor201系統祇園・百万遍ゆきor203系統祇園・錦林車庫ゆきで約10分、「熊野神社前」下車 徒歩3分
●駐車場
地下駐車場あり(8台)、高さ制限あり 1.6m
使用時は1階にて要申し出。一時駐車も許可証必要
●混雑情報
修学旅行生がいない限りはとても空いている
平日がおすすめ
●トイレ、食事処
あり